街から始める鳥獣対策

鹿肉・猪肉商品を販売する、鹿児島県曽於市財部町はたからべ森の学校を伺う その3

鹿肉・猪肉商品を販売する、鹿児島県曽於市財部町はたからべ森の学校を伺う その3

「もともとジビエに対して苦手意識があって。実際に食べたこともあったんですが、いい記憶がなかったんです」

現在はたからべ森の学校として事業活用されている校舎、財部北中学校の卒業生だったという堀内さん。社会に出てからは、保育園給食調理師として働いていました。

ある日、四本さんが持ち込まれた猪肉を食べる機会があり、それまでいい印象を持っていなかったものの恐る恐る食べてみたところ、「あれっ、全然臭くない!」と衝撃を受けたそうです。そして近隣の獣害状況を知り、なんとかしなければいけない、という四本さんに共感する部分もあり、地元のために役立つことがしたい、その想いを実現するため、たか森カフェをオープンすることを決意したそうです。

やりがいと開発の日々

「私自身が苦手だったこともあり、お客様から美味しい、と言葉をいただくときが一番嬉しいですね」

まずは多くの人に「猪や鹿肉は美味しいものだ」と知ってもらうことが私の仕事なんです、と堀内さん。

商品開発・調理・給仕をすべて一人でこなす堀内さん
商品開発・調理・給仕をすべて一人でこなす

しかし多くの人にとってジビエは未知の食材であり、どちらかというとネガティブな印象を持つ人も少なくはない。何せ堀内さん自身もその一人だったので、余計にその部分が分かると言います。

どう作れば一般の方たちにも馴染みやすい料理になるのか。日々レシピを開発しながら行き着いたひとつの形が、猪と鹿の合挽き肉を使用したジビエバーガーだった。

ジビエバーガーのセット
ジビエバーガーのセット

鹿肉には普通ほとんど脂がない。そこを補う形で猪肉を合わせる。私も実際に食べさせていただいたが、特にマスタードがこの肉と絶妙にマッチしていて、言われなければ気づかないほどジビエ特有の味がキレイに美味しさとなって表現されていた。

ジビエバーガーを食べる筆者
ジビエバーガーを食べる筆者

また、昼のカフェとは別に夜のお客さん専用に、鹿肉のしゃぶしゃぶがあるのだと伺い、私は鹿肉が大好きなので頼んでみちゃいました。

豪華鹿ロースのしゃぶしゃぶ
豪華鹿ロースのしゃぶしゃぶ

その際、つけダレとして出されたものが2種類あり、特にひとつの椀に真っ赤な液体が入っていたので中身を伺ったところ、

赤いタレがある
赤いタレがある

「これはですね、トマトジュースをベースにしたつけダレなんです」

トマトジュース! そんな味付けで食べた経験のない私は、味を想像できずに興味津々。

昼からしゃぶしゃぶでご満悦の筆者
昼からしゃぶしゃぶでご満悦の筆者

結論から言うと、もんの凄く美味しかった。さらに副菜にシュレッドチーズがあり、軽くしゃぶった鹿肉をトマトソースと絡め、チーズを挟んで食べる、という絶妙なコンビネーションまで味合わせてくれて、衝撃でした。こんなに鹿肉と合うものなのか!

なお、たか森カフェでは調理して供される料理だけではなく、商品としてもジビエを販売しているそうで、それらの一部を紹介してもらいました。個人的に興味があったのは、鹿肉と根菜類のアヒージョ、大人の贅沢ジビエハンバーグ。

なんと両商品とも盛り付けて味見までさせていただきました。

鹿肉と根菜類のアヒージョ
鹿肉と根菜類のアヒージョ
大人の贅沢ジビエハンバーグ
大人の贅沢ジビエハンバーグ

アヒージョはしっかりと鹿肉の味があり、ウイスキーやワインのお供に箸が止まらない系の味。ハンバーグはホロホロと箸で食べられる、優しく飽きの来ない味わいで、どちらも人にプレゼントしたくなるような、繊細な品でした。また、ハンバーグは上記ジビエハンバーガーとは配合を変え、この商品専用のレシピを開発したのだと伺い、その手仕事にも感嘆しました。

商品開発現場を伺う

さらに今日は新商品の開発をしているということで、特別にその現場も見学させていただくことになり、キッチンに入らせてもらいました。

商品名は、パテ・ド・カンパーニュ。鹿・猪肉にレバーを混ぜ込んだパテを試作中という。

ココットにパテを詰める作業
ココットにパテを詰める作業

「私自身レバーが苦手なので難しい部分もありますが、だからこそ美味しいものを作りたくて」

聞けば豚、鶏など何種類ものレバーを試しながら開発しているという。レバー好きにとってはあの味がクセになるところだけど、はじめて食べる人の事も考えながら、どのポイントがベストなのかを非常に迷っているところです、と笑顔で作業を続ける。

堀内さんは、味だけでなく包装、容器の選定、微生物検査の諸手続き、なども手掛けるため、キッチンだけがその作業場ではない。実際に商品として流通させるためには様々な工程があり、そのほとんどに携わっているため、作業量は膨大だ。

サンプルを真空ラッピングするところ
サンプルを真空ラッピングするところ

それでも、お客さんに「美味しい」と言ってもらえることが何より嬉しいのだと、仕事に打ち込む姿は、私もいち猟師として背筋を正す思いでした。

移動式たか森カフェ

最後に、たか森カフェはキッチンカーによる移動式販売も行っている。商品数は店舗のカフェよりも少なくなるが、イチオシのジビエバーガーが味わえるので、見かけた方は是非トライしてみて欲しい。

移動式たか森カフェ
移動式たか森カフェ

畜産において全国トップクラスの鹿児島県。是非ジビエの産出県としても後追いし、全国を牽引する存在になって欲しいな、と想像しながらの取材となりました。

それではまた!

カテゴリー: ジビエグルメ   鳥獣トラブル  
ライター:島田寿朗

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