街から始める鳥獣対策

オンラインでシカ肉ジビエ授業を受講してきました。基礎知識・ちょっとした業界情報など!

オンラインでシカ肉ジビエ授業を受講してきました。基礎知識・ちょっとした業界情報など!

島田です。

デジタルシフトが目覚ましい昨今ですね。そんなご時世、知人づてに「シカ肉にまつわるエトセトラ」をオンラインで教えていただける方を紹介いただいたので、受講してきました!

そもそも猟師の私がなぜ受講したのかというと、私のテリトリーにはほぼシカが生息しておらず、見かけることがありません。当然シカを仕留めたこともありません。

方言で何言ってるか分からないので人付き合いもわりと疎遠がちで、猟友会での情報共有もほとんどありません。なのでシカに関しては、同じ四足獣なのでまあ解体くらいはできるだろう、ロースうめぇ、くらいの認識しかありませんでした。

ですのでコレはいい機会だと、猟師YouTuberとして造詣を深めておこうと、受講してきました!

講師は、ジビエ食肉処理施設の立ち上げ補佐・運営補助経験のある福本さん。

流れとしては、

  • 1. 事前に聞きたい項目をヒアリングしてもらって
  • 2. 数日後に上記まとめた資料 + 基礎知識をオンライン受講

といった感じでした。それでは以下、学んだ事項です。

そもそもシカはどんな生き物なのか
シカ肉の捕獲について​(どう捕獲され、どう処理された肉か)
シカ肉調理上の注意
シカ肉の栄養素
シカ肉の歩留まりどれくらいなの?
マダニ対策どうしてるの?
骨・角の利用例
シカって脂肪部位あるの?

そもそもシカはどんな生き物なのか

私は漠然とエゾシカ、カモシカ、バンビ、くらいの種類の認識でいたんですが、そもそも国内には7種類のシカが存在しているとのことで、今回の講義ではその中でもホンシュウジカを扱いますとの前置きから始まりました。

昨今、シカによる獣害がメディアで報道されますが、すべてを食べ尽くすわけではないとのことです。人間と同様に植物の好き嫌いがあり、馬酔木(アセビ)をはじめ、食べない植物もあるため、群れが侵食すると特定の植物のみが残る状態になり、結果として山が痩せてしまい、土砂崩れなどを誘発させる恐れがあるとのこと。

ちなみにイノシシは、脂の乗る秋終わりから冬にかけてが旬とされますが(オスは発情個体注意)、シカの旬は夏の雄鹿、冬の雌鹿と呼ばれ、性別によって明確に時期が変わるとのこと。オスは交尾前の体力づくりのため、メスは出産前の体力づくりのために脂が乗りはじめるピンクなロジック。

シカ肉の捕獲について(どう捕獲され、どう処理された肉か)

コレは目からウロコでした。

私は常々、ジビエを流通肉として定着させるには、止め刺しを同一規格で行うことが必須と考えていて、人件費的にそれムリだよなぁと思ってたんです。

何故かというと、食肉は心臓を止めてから精肉までのプロセスが一番味への影響が大きいため、猟師だよりな止め刺しでは、安定した肉質が確保できないんです。我々は解体の教育とか受けてないですし、ぶっちゃけトレーニングされていない味覚は思い込みで簡単に左右されるので、参考になりません。

また、猟師が申告する止め刺しからの時間なんてアテにならないんですよね。どうしてもアバウトになってしまいがちだし。にんげんだもの。

ですが、福本さんが携わった施設は、罠にかかった時点で連絡をもらい、施設の方がそこからの処理を担当する、というフローを確立させたということです。銃猟によるお肉は取り扱わない、というのも大きなポイントなんですが。

いや、それ完璧やん。

あ、上記食肉処理施設をベタ褒めしていますが、この記事は特にPR記事ではありません念の為。ただ個人的に難しいだろうなぁ、と思ってたポイントがクリアされていてビックリした情報だったので。

シカ肉調理上の注意

たまに「いっかい冷凍してるからだいじょうぶら」なんての聞きますが、なんかガバってる価値観だなぁというのは認識してました。まずウイルスと細菌をごっちゃに考えている人が多くてちょっとゲンナリする。大きさだけでも50倍の違いがあるのに。人間とベルトルトの巨人を同じ視点で考えるとかもうね。

その観点で、まずは細菌類。こちらは、シカに存在すると考えられるものに関しては、-20℃以下を2日間維持で死滅することが確認されているとのこと。しかしクマやイノシシはこれに該当していないので、なんにしてもジビエを安心して食べるには火を通すのが絶対条件とのことです。

そしてウイルス。これらは氷点下でも死滅しません。シカは極稀にE型肝炎ウイルスを保持しているので、上記冷凍のプロセスを経ても、運が悪いと当たってしまいます。やはり火を通せということですね。

まとめると、熱によるウイルス・細菌類の死滅に関しては、ざっくりと

  • 5時間@55℃
  • 1時間@60℃
  • 6分@65℃
  • 4分@70℃
  • 1分@75℃

で死滅を確認できているらしいですが、例外にノロウイルスがいて、こちらは1分@85℃ が望ましいとのことです。基本的にノロはげっ歯類を宿主にするので、シカ肉からの感染は私は聞いたことがありませんが、やはり一にも二にも加熱ですねバーニン。

初耳だったのが、例外として肉アレルギー(シカ肉に限らない)が存在するという話。アルファガルアレルギーと呼ばれるもので、その原因はマダニに噛まれ、身体に「アルファ・ガルという糖質」に対しての抗体を持っている状態だと引き起こされるというもの。

これは近年になり解明されたもので、山近辺で暮らしている猟師には割と身近に起こりうる症状だと伺いました。私もマダニには何回か刺されているのでちょっと怖い。詳細は以下より。

シカ肉の栄養素

なぁんとなあくは知っていましたが、しっかり数値として教えていただきました。牛肉と比較してカロリー1/3、脂質は1/20。タンパク質が1.2倍、鉄分1.7倍。優秀ですね。筋トレとの相性良さそう。

んで知らなかったのが、EPA、DHA関連。いわゆる青魚やマグロに多く含まれるという不飽和脂肪酸ですね。アレの含有量がマグロと同じか、それよりも多く含まれているということ。青魚と比べるとなんと2倍!

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シカ肉の歩留まりどれくらいなの?

歩留まりとは、丸ごと一頭から正味何キロの精肉が取れるか、という割合のことですが、どれくらいなんだろうなと。

伺ったところ、大体20%くらいとのことで、もちろん大きければ大きい個体ほど率は良くなるんですが、50kgの個体だとすると10kgくらい。牛豚は30%ほどなので、率は低いんですね。それだけ貴重なものとも言えるワケで、そう言われると俄然食べたくなってくる。なりませんか?(誰に言ってるんだろう

マダニ対策どうしてるの?

根本的には避けられない問題で、だけど本格的に防護服を着て作業する施設もあるそうです。福本さんは、肌の露出をしない・作業は迅速に・作業後は速やかに服を洗濯。皮膚に違和感を感じたら熱めのシャワーをすぐに浴びて対処している、とのことでした。マダニは熱に弱く、特に噛んでいる状態のものは水では決して流れないとのこと。

人間に移動してくるのは、マダニは熱を持った物体に寄生するので、解体中に対象の温度が下がることで人間の方にターゲティングしてくる仕組みらしいです。

上述アルファガルアレルギーもあるので、ちょっと真剣に考えないと駄目だなと実感しました。猟師界隈はマダニに噛まれたくらいはネタにするような風潮があるので。

骨・角の利用例

これは業態として心配していた部分で。どうしても食肉だけでは利益薄いんだろうなと思っていたし、なにか造作に使える部分て流通しているんだろうかと思ったので質問しました。

最近では角・骨を犬用歯磨きとして、アクセサリーとして、箸置きとして。角の輪切りをビーズとして、種々利用されているとのことでした。ビーズ可愛い。

シカって脂肪部位あるの?

魚も四足獣も基本は脂の乗っている個体が美味とされますが、私が今まで見たシカ肉は、すべて赤身肉だったので、そもそも脂あるの? と思っていたので事前に質問しました。

結論としてはYES、しかしシカのそれは、融点が高いため調理が難しく、イノシシの脂ほどは重宝されていない、という理由でした。もちろん赤身の中に入っているサシなどはまた別の観点でしょうけど、基本的にイノシシのように脂の層が目に見えて調理されたものはあまり見かけない、とのことでした。納得。

以上、受講して学んだ事柄でした。かなり端折りましたが、もっとたくさんの細かい事を教えていただき、わりとウハウハしてきました!

ぶっちゃけ全部知らなかったYO☆

最後に、福本さんが今回のようなオンライン講義を始めた理由を伺いました。

曰く、コロナ禍による混乱の中で、ジビエに携わる自分にできることは何なのか? シカ肉って美味しいよ! だけどちゃんとした知識を皆に持ってほしい! オンラインでも手軽に買えるよ! など、普段から感じていたシカ肉に対する強い思いが、昨今の情勢を鑑みてオンライン講義を開催するという行動に結びついた、とのことでした。

リモート化が進む今だからそ出来ることもあり、それを機会として捉え結実させていく。私も見習わなければ、と強く思わせてくれる、有意義なオンライン講義となりました。

それではまた!

カテゴリー: 狩猟の道  
ライター:島田寿朗

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