街から始める鳥獣対策

年間200頭を仕留める、単独忍び猟で有害鳥獣駆除を行う東良成(@りょう)さんに同行インタビューしてきました – その1

年間200頭を仕留める、単独忍び猟で有害鳥獣駆除を行う東良成(@りょう)さんに同行インタビューしてきました – その1

「自称職業猟師」

twitterのbioに書かれた、私がりょうさんを目撃した最初の言葉です。以下原文ママ。

“銃を持ちたい
猟をしたい
どうすれば良いのか銃砲店に相談に行った

店にはおばちゃんが1人座っており
銃を所持して猟をやりたいと伝え手続きを教えてもらった

父もこの店でお世話になったそうで
と言うと名前を聞かれたので伝えると突然おばちゃんが泣き出した
「あのときのボクかい」

このおばちゃんには過去に会ったことがあった
「ボク鉄砲持つの?」
「うん」と答えたそうだ
自分が6歳のとき親父の葬式でのこと

それからずっと保管してくれていたそうです
所持している上下二連2丁とも親父の形見です”

この方とは会わなければいけない。会いたい。見た瞬間にそう感じた。

運良く、今年からお仕事させていただいている狩猟関連の記事化があったので、「りょうさんを取材して記事化したいんですけど、いいですか、むしろやらせてください」と上申したところ、二つ返事で「いいよー」とレスいただき、今回への運びとなりました。感謝。

しかし私も一応猟師なんですが、罠オンリーなので銃猟に関してはまったくの素人で、取材行ったら邪魔になるんじゃなかろうか、粗相してしまうんじゃないだろかと種々不安がありました。が、事前に伺ったところ、現地の有害鳥獣のメイン期間は4月〜10月末の7ヶ月間で、今回取材に伺う12月はシーズンオフとのこと。それほど神経尖らせていませんのでお気軽に、とお返事いただき、わりとリラックスした中での訪問となりました。

当日現地、待ち合わせ時間ちょっと前に赴き、辺りを見回してもまだ着いていないようなので、近くのお土産店で少し時間を潰すことにしました。

で、店内にて物色していたところにりょうさんから以下メッセが。

「今お土産屋さん入りましたね、ごゆっくりどうぞ」

一方的に観測されるイメージ図

一方的に補足される( ;´Д`)

いやまあそんな大したことではないんですけど。忍び猟師なだけに、ロックオンされた気がしました。

そこからりょうさんとお会いし、挨拶を交わし、初日は冒頭の銃砲火薬店に訪れてみましょうということになり、伺うことに。

レトロな銃砲火薬店の看板
レトロな銃砲火薬店の看板

私は罠免許しか持っていないのでそもそも銃店に入ったことがなかったんですが、店内が想像と違っていて、銃や猟具はディスプレイされておらず、なんだか田舎のばあちゃん家にいるような雰囲気でした。

もうすぐ90歳になるという店主のおばあちゃん。銃砲火薬店3代目、店主歴40年という、これまた猛者がそこにはいらっしゃって、なんとりょうさんと再会したときの貴重なお話を伺うことができた。

店主と談笑するりょうさん
店主と談笑するりょうさん

「この子のお父さんはねぇ、そりゃもう凄い猟師だった。この子は間違いなくお父さんの血を継いどる。なんせもう考える力がすごい。ばーっと行ってぶわーっと捕ってくる。なんか持っとるねぇこの子は」

さすがというか、日頃付き合う人種が影響するのか、とても90歳近い高齢の方の話力、テンションではなかった。

談笑しながら火薬を注文してたメモ
談笑しながら火薬を注文してたメモ

りょうさんは幼い頃、お父さんと一緒に山へ入ることもあり、時には山の中で、「ここで待っていろ」と言われ、お父さんはそのまま獲物の追跡を続け、仕留めて戻ってくる、という経験もあったそうだ。

しかし感動秘話とは裏腹に、りょうさんが幼い頃に店主と交わした「ボク鉄砲もつの?」「うん」のくだりは、本人は覚えておらず、若い時分から猟師を志したわけでもなかったという、笑い話も伺った。

では何故りょうさんは猟師になったのか。それは意外にシンプルな理由だった。

そもそも当時りょうさんはミュージシャンを目指していて、一時は出身地を出て北海道で音楽活動に専念していたということで、狩猟なんてどこ吹く風のライフスタイルだったとのことです。

しかし音楽の道を諦め、帰郷したある日のこと、庭先にキジバトが出たときだったと言います。シンプルに「アレ捕ってみたいな」と。そういえば親父と山に入った時も仕留めていた。

捕るにはどうすればいいんだろう、お店に聞いてみよう、そうして訪れた銃砲火薬店にて、冒頭の話を店主より聞いて現在に至る、とのことでした。

しばらく楽しいお話をいただいた後、この日は解散、翌日所持している銃を見せてもらいにりょうさん宅を伺いました。

筆者、行く途中にサルと遭遇する
筆者、行く途中にサルと遭遇する

そう、取材は12月だったのですが、現地の有害鳥獣駆除期間(イノシシ、シカ、サル)は4月から10月末まで。サルは例外で通年有害鳥獣だが、賢いので数が捕れないため、例年冬はシーズンオフで比較的ゆったり過ごすせるはずが、今年はイノシシも冬季の有害鳥獣となったため、箱罠見回りをはじめ少し慌ただしいのだとか。

形見の銃

上から順に
ブローニング X-ボルト ステンレス ストーカー
フランキー カスタムインペリアル
ニッコー モデル620

下の2丁がお父さんの形見の散弾銃、一番上がライフル。

手入れをするりょうさん
手入れをするりょうさん

「あいつら(サル)本当に頭いいですからね。もう毎日騙し合いですよ」とりょうさんは言う。

右利きなのに左で弾くスタイル、曰く「右に飽きたから」
右利きなのに左で弾くスタイル、曰く「右に飽きたから」

そういえば今日来る途中にサル見かけましたよ、と伝えると「ではそこに行ってみましょうか、何か情報があるかもしれませんから」

さっそうとりょうさんの車に乗り込み、撮影した場所へと向かう。今から行ってもまず見つからないだろうに、なぜ向かうのだろうかと疑問に思ったけど、ここはプロに従うべき。

道すがら、スッと減速する。

「今、鳴きましたね」

車をゆっくりと止めたが、私の耳には何も聞こえなかった。

本当、最初はほとんど意味が分からなかったんだけど、後から徐々に理解しかけたことがあって。

りょうさんの頭の中では、俯瞰地図・等高線・近辺のグループ頭数・時間・季節・直近仕留めた場所・習性、などが常に演算更新されてて、しかし向こうは野生の鋭い五感でこちらを警戒してくるため、近寄ることすら難しい。

それらに対抗するため常に情報を更新し続けていて、そのため少しでも手がかりを探している様子で、それは最早人間対サルの戦争様相を呈しているように感じました。

ちなみにりょうさんは周辺のサルから完全にロックオンされていて、グループの半径200メートルくらいに入ると、車に乗っていようがサングラスをしようが、警戒鳴きをされてあっという間に姿を消されるという徹底的な認知っぷり。

その意味では、上記来る途中に道端のサルを撮影できたのは、私が一人だったため、余裕で舐められていたのだと気付きました。

さらには「シカとサルがグループを組んで移動していると、もっと難しくなりますね」と。なんと野生動物がお互いに協力して、警戒範囲を広めているのだとか。最早私には想像すらできない情報戦となっていた。

濃い霧の中、撮影地点にて何かを感じ取ろうとする姿
濃い霧の中、撮影地点にて何かを感じ取ろうとする姿

次回、流し・忍び猟に同行編へと続きます。

余談、電話の着信音がりょうさんと同じチョイスで軽く同胞感を受けました。初めて見たよジェイソン・ステイサムの着信音使ってる人。

カテゴリー: 狩猟の道  
ライター:島田寿朗

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