街から始める鳥獣対策

イノシシの頭骨標本を煮沸バージョンで作っていきます(閲覧注意)

イノシシの頭骨標本を煮沸バージョンで作っていきます(閲覧注意)

※※本記事中には臓器や血液を撮影した写真があります。正しい情報をお伝えするために必要として掲載しておりますが、苦手な方はご注意ください※※

立派な雄イノシシの頭部を入手したので、肉片を取り出しつつ、今回は頭骨標本を作成していきます。

まずそもそも私の知る限りでは、骨から肉片などをキレイに取り除くには以下4つの方法がありまして。

  • 1. 海や池などに浸けておく
  • 2. 地面に埋めておく
  • 3. 煮沸して除去
  • 4. ミールワームなど虫に食べさせる

1. 海や池などに浸けておく

コスパで言えば、海に浸けるのがベストだと思います。池でも可能ですが、潮流の有無、生物微生物の豊富さから、圧倒的に海のほうが早く白骨化します。しかし、1ヶ月くらいの期間を必要とするので、漁港や付近の関係者に無断で行うわけにはいきません。上記実行する場合は、必ず許可を取りましょう。なお私は最寄りの漁港に交渉に行ったら断られました。手土産などで懐柔する必要があるかもしれません。

漂流中に歯が抜けて紛失する可能性があるので、目の細かい洗濯ネットなどでラッピングしておくなどの工夫が必要です。

2. 地面に埋めておく

地中の微生物によって分解してもらいます。気温にもよりますが、最低でも3ヶ月は必要。当然すべてがキレイになるわけではないので、やはり煮沸プロセスは必要です。

ともすれば異臭が発生するので、自分の所有土地内で行うこと、近隣の方へ報告しておくのがベターでしょう。なお浅く埋めると、付近の鳥獣が掘り返してしまうので注意。

3. 煮沸して除去

骨の大きさにもよりますが、ものっそい火力と時間が必要です。今回の頭骨の大きさだと、20リットルのペール缶を使用するので、その量のお湯を煮沸させ続けなければいけません。プロパンガスなんか使った日にはとんでもない額になってしまうので、今回は木材を利用してロケットストーブを使用します。

4. ミールワームなどの虫に食べさせる

興味あるけどやったことはありません、肉食の幼虫に食べてもらう方法ですね。BONESはホジンズ博士御用達のアレです。私は専属に頭骨標本を作り続けるわけでもないので、虫の購入には逡巡しています。どこかでレンタルや研究室があれば機会を利用してみたいです。

とまあざっくり4パターンが考えられるのですが、今回は伐採したヒノキと竹が余っているので、それらをロケットストーブの燃料とし、煮沸で処理していきたいと思います。

いずれにせよ下処理の段階で、可能な限りナイフで皮や肉片を落としておくことが近道なのは間違いありません。なのでまずはこそぎ落としていきます。

イノシシの頭部を解体していく
ついでに肉片をゲットしつつ

私が頭部から採取している可食部は、頬・コメカミ・鼻筋・タン、です。なおタン以外は若干スジっぽいので、極薄にスライスするか圧力鍋で処理すると美味。味に関して言えば体のどの部位よりも美味しい。

イノシシ頭部のタンと頬肉と鼻の筋部位
頬・コメカミ・鼻筋・タン

余談、この個体はちょうど繁殖期に捕らえたもので、顔にオス同士の喧嘩跡が残っていました。しかもなんと相手の牙が刺さったまま

喧嘩跡と思われる部位から牙が!
表皮には傷が残っていなかった

当然そんな想定していなかったので一瞬パニくりました。「おぇぁ!? 生え変わり? 臭い! なんコレ?」twitterでもちょっとバズりました

喧嘩跡と思われる部位から牙が出てきました!
付近が腐ってて凄く臭い

おそらく雌の奪い合いで衝突した跡です。勝ち負けで言うと相手の牙を折ったコイツの勝ちですね。そういう意味ではこの頭骨には何かしらゲン担ぎに良さそうな雰囲気が漂います。

雌を奪い取った勇敢な雄イノシシの頭骨! 20万円でいかがかね!

なにせ手間がかかるので、原価を考えて販売となると、とんでもない売値になるんですよね頭骨標本。たまにヤフオクなどで見かけますが、人件費考えると原価割れてます。

脱線しました。続いて作業していきましょう。顎の下、真一文字に切れ込みを入れて皮を剥いでいくので、下写真のような状態になります。伊之助はコレ被ってますからプロセスで結構エグいことやっていることが分かりますね。

皮を剥いだイノシシの頭部

では、肉部分を削いだ頭骨をペール缶に収納します。

頭骨をペール缶に入れる

水を張ります。近所の小川の水を使ってるので透明度低いです。ねーちゃん! SDGsってこういうことさッ!

頭骨を入れたペール缶を水で満たす

そしてコレをロケットストーブで加熱してきます。

ロケットストーブで熱していく

先は長いのでゆっくり長期戦の構え。

長期戦の構え

初回は大体2時間ほど煮沸させます。が、なにせ水20リットルと肉片混じった頭骨なので、そもそも沸騰まですんごい時間かかります。この日は都合5時間くらい外にいた気がする。あ、ロケットストーブの構造や理屈に興味ある方はこちらをご覧ください

一晩放置しての翌日の状態
一晩放置しての翌日の状態

もうだいぶ姿が見えてきましたね。このお肉を割り箸や爪楊枝で落としていきます。

割り箸と爪楊枝でキレイにした状態- 2日目

大雑把にこんな感じになります。リマインドですが、初回の煮沸でここまでキレイにするには、最初の段階で可能な限りナイフで皮と肉を落としておくことが重要です。一体誰への説明なんだろか

ただ写真には写ってないですが、脳組織や細かい部分にまだまだ脂肪や神経が残っているので、このまま2回目の煮沸を行います。

同様に川の水で満たす
同様に川の水で

ひと晩かけて煮沸します。意外とここからが長かったりします。以下は2回目の煮沸が終わった状態。白く濁って豚骨スープさながらの様相です。

骨から出汁が出て濁っている
骨から出汁が出て濁っている

前回同様に割り箸や竹串などを使用して掃除していきます。このあたりから歯が抜けたりするので注意が必要。どうせ作るなら欠損はゼロにしたいですからね。

川でイノシシの頭骨を洗っていく
川で洗っていく
だいぶ頭骨標本っぽくなってきました
だいぶそれっぽくなってきました

ですが細かい部分、特に鼻腔内の組織がガンコでなかなか落ちません。且つ螺旋状の薄い骨組織は残しておきたいので、力ずくで洗うことも出来ません。

ガンコな鼻腔内組織
ガンコな鼻腔内組織

さらに骨髄などの骨内部に浸透している成分。これはほぼ脂のような性質なので、なかなか除去が難しいところで、やはり地道な煮沸を続けるしかありません。

乾燥させるとわかりやすい内部からの脂
乾燥させるとわかりやすい内部からの脂

なので再度煮沸します。脱脂のみに関して言えばアセトンなどの有機溶剤で除去することが可能ですが、いかんせん量が量なので高額になってしまいますし、そんな量の有機薬品は一般家庭では廃棄できません。沸騰一択。

3回目煮沸の巻
3回目煮沸の巻

余談、いつもは自家製のペール缶で作ったロケットストーブを使用してたのですが、この度限界を迎えてしまい急遽ブロック製のものを作りました。金属と違って劣化しないからベターじゃないかと思い作りましたが、断熱性能が弱いので上昇気流が弱いっぽい。工夫の余地アリ。

そんなこんなで3回目の処置が終わりました。いい感じに脂が抜けたようなので、そのまま乾燥させます。くれぐれも歯の欠損に注意。2歳以下の個体だと、この状態になるまでにボロボロ歯が抜けます。

3回目の煮沸後川にて
3回目の煮沸後川にて
同様に竹串などで清掃
同様に竹串などで清掃
タワシで歯を磨きます
タワシで歯を磨きます
歯が抜けるので紛失注意!
歯が抜けるので紛失注意!

乾燥後の頭部鼻付近

乾燥後!

イノシシ頭骨の鼻腔内組織

キレイ!

美しいイノシシの頭骨標本完成!

美しい!

頭骨ってカッコいいよね!(満場不一致

それではまた!

カテゴリー: 狩猟の道  
ライター:島田寿朗

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