街から始める鳥獣対策

アメリカ、イノシシ(ノブタ)による被害総額1000億円! イノシシ爆弾直撃

アメリカ、イノシシ(ノブタ)による被害総額1000億円! イノシシ爆弾直撃

正確にはferal swine(ノブタ)だが、便宜上イノシシと呼ぶ

日本農林水産省の報告によると、日本のイノシシによる平成30年度の農作物被害総額は約47億円(捕獲頭数約60万頭)となっている。それに対しアメリカ動植物検疫所による農作物の推定被害総額は1000億円/年を超えているとの記事を見かけた。

日本に住んでいると、どうしても国内のニュースばかりでそこにフォーカスしがちだけど、被害の規模としてはアメリカの方が段違いに大きいようで、特に農業物輸出大国としての側面が大きい彼の国は、むしろ日本よりも死活問題なのかもしれない。特にトウモロコシなどは格好の餌食だろう。

イノシシ増殖の原因とそのスピード
対策に大型の罠、ヘリコプター
まとめと余談

イノシシ増殖の原因とそのスピード

近年アメリカで問題となっているイノシシは、もともと在来種ではなく、16世紀頃にスペインから持ち込まれた外来種が元となっている。また、狩猟目的で持ち込まれたユーラシアイノシシの逃亡と相まって、交雑・繁殖を繰り返し現在の問題とリンクしている。「狩猟目的の放獣」とはまぁ、うん、かつて数百万頭のバッファローを撃ち殺した国民性なので分からないこともない話なんだけど。ここにきて彼らが凶悪的な繁殖能力でアメリカを侵食しつつあるとのことだ。半分くらいは自己責任な気もするけど。日本とはその増殖の原因がかなり異なるようで、一概に「被害」で括ることはできない問題でもある。

問題視されているのはその繁殖スピードの危機性で、「彼らは非常に急速に繁殖する。野生の豚1000匹が2000匹になるのは大したことではない。しかし、100万匹が400万、800万匹に到達するのにはそれほど時間がかからないだろう」と国立野生豚被害管理プログラムのデール氏の言。ニホンイノシシの出産は一度に4〜5頭と言われているが、問題となっているアメリカのイノシシは10頭近くを出産するそうで、上記の危機性もなるほどといったところだ。家畜としてより多くの子を産み、早く大きく育つよう品種改良した種が、野生に還った時にどのような挙動を示すのか、この問題は大きく難しい。スーパーで美味しい豚肉やベーコンを安価に購入している我々は、しかし知らずにその片棒を担いでいるわけだから。

対策に大型の罠、ヘリコプター

アメリカにおける鳥獣対策ヘリコプターのイメージ

イノシシの大規模な繁殖・拡大への対策として、アメリカ北限近くのモンタナ州畜産局では2015年、狩猟目的のためのイノシシの所有または輸送を禁止する法律を作っており、その拡大の歯止めとなっている。低い植生のテキサス州ではヘリコプターを用いた大規模な狩猟による対策を行っているそうだ。箱罠に関しても、コーラルトラップという大型の柵と監視カメラを一体型した大掛かりなものが使用されている。私が個人的にチェックしているアメリカの罠メーカー、イエーガープロという大型の箱罠メーカーだが、一度に捕獲できる頭数のケタが日本のそれとは段違いで、時に30頭以上の捕獲が可能というからその規模の大きさが伺い知れる。日本式の箱罠はせいぜい5〜6頭までのものだ。ちなみにアメリカの箱罠は乾燥トウモロコシを使用しているのをよく見かける。

ただその高い繁殖性能(生息数の80%近くを減少させても個体数に変化のなかった実例)もあり、より計画的な捕獲が必要となっている。またアメリカは日本と違い、隣国カナダ・メキシコと地続きなため、歩調を合わせた三国の協力が必須となっている。そういう意味では日本はまだ野生鳥獣をコントロールしやすい状況にあるのかもしれない。

余談とまとめ

余談、江戸時代は伊豆の代官江川太郎左衛門は、防衛力強化のために取り入れた西洋砲術(オランダ流銃器取扱全般)を、その訓練と称して野生鳥獣の狩猟に用いさせ、常に生き物と命のやり取りをすることで門下生の胆力増強へと昇華させた。つまり先端技術の導入・強兵・獣害問題を同時に解決させた稀代の名代官だった。

今の世の先端技術とはなんだろうか。今の時代の強兵とは何を意味するのか。個人的には、プログラミングを中心とした IoTへの注力、人材の育成だと感じている。だがそこへの門戸は開かれているのか? むしろ毛嫌いして世代間の断絶を起こし、衰退のスパイラルに片足を突っ込んでいる方を多く見かける。先のイエーガープロのような製品製造の試みは日本国内で行われているのか。江川太郎左衛門先生、パン以外でも御指南いただけませんかね!?

参考資料
アメリカにおける野生化したブタの対策と管理体制
鳥獣被害の現状と対策
野生鳥獣による農作物被害の推移(鳥獣種類別)

カテゴリー: 鳥獣トラブル  
ライター:島田寿朗

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