街から始める鳥獣対策

ウリ坊まるごとシェフ野田さんに捌いて料理してもらいました!

ウリ坊まるごとシェフ野田さんに捌いて料理してもらいました!

何から書き綴ればよいものか、とにかく衝撃的な体験をしてきました。端的に言うと、

ウリ坊捕獲 → 解体面倒だったのでまるっぽ冷凍へ → 素敵シェフに解体調理頼んでみた → 快諾してくれた → ウマすぎて引いた

です。それでは書き連ねます。

先月9月末に幼体のイノシシ(以降ウリ坊)をくくり罠にて捕獲しました。その日は夕刻近くだったこと、疲れていたこともあり、内臓を抜き、頭を落としてそのままアイスストッカーに突っ込んでしまったのです。

分かる人には分かると思いますが、一旦手から離れたジョブは何かしら再開のキッカケが訪れないと、ともすれば長期の放置案件と化してしまいます。私がぐうたらなだけという声は無視します。みんなそうです。たぶん。絶対。

それでもまあ、枝状態のままストッカー容積を圧迫するのもなんだかなあということで、バラさなきゃ、バラせよ、と脳内 todoは毎日アラートしてくれてたんです。でもお布団のほうが魅力的で私を離そうとしてくれないもので、どうにも食指が動かなかったんです。が、ふと思い出しました。そういえば隣町は修善寺に、現役猟師兼シェフ(イタリアン・スパニッシュ)の野田さんという稀有な人材がいらっしゃったことに。頼んでみたい、なんならプロの調理を目の前で見てみたい。そう思ったときには既に以下メッセしてました。

島田寿朗アイコン

野田様、ウリが枝であるんですけど解体調理で記事を書きたいのでお願いできますか?

思ったときにはスデに行動は終わっている系男子です。デキるぅ! デキるぅ! そして即答で返ってきました。

匿名人物アイコン

いいですよw

素晴らしい。なんというフットワークの軽さ。今思えばなんとぶしつけな頼み方だろう。

ということで後日ウリ坊を持ち込んで解体から調理、実食をしてきました。写真では伝わらない部分も大きいですけど結論、間近で見れて本当に良かった。

調理の前に娘と品定めピンポイント

事前になんの打ち合わせもしなかったので、持ち込んだその日その場で「何作りましょうか? どうしましょうか?」と相談するも、枝をペタペタ触りながら、

「うーんそうですね、ゴロゴロミートソースと、塩麹焼きと、パテ、作りましょうか」

とサクサク決めていく。しかもそうしてる間にも、野田さんの娘さん(以降ハルちゃん)が

「ねえ、アバラは? 背ロースは? どうするの?」

ピンポイントに「背ロースはどうするの
?」図
ピンポイントに「背ロースはどうするの?」図

と、的確にその部位を触りながら母に質問しているのだ。小学生というのになんという慧眼。神童か。
聞けば、いままでに25頭ほど解体の経験があるという。下手な大人の猟師よりもバラし経験あるんじゃないか。

そんなハルちゃんがニッコニコで私に聞いてくる。

「鹿の部位だったらねー何がいちばん好きー?」
「私はねー、心臓!」

(゜∀゜

イノシシの枝に興味津々な犬
明らかにロックオンしてくる犬

野田さん、あんた(失礼)の教育間違ってねぇよ。凄いよ。ちょっと泣きそうになった。

そんな横道は置いといて。さっそうと解体を始める野田さん。

流石というべきか、迷いなくスルスルと包丁を入れていく。そしてハルちゃんもアシストしていく。

「この脇のねー、ペリペリしたの剥がすの好き」

イノシシの解体を行う野田さん親子

母さん、今の日本に必要な人材がここにいます。

解体はズンズン進み、あっという間に精肉店に売っているパーツ並みに分かれていった。

イノシシを解体をテキパキ進めていく野田さん

半身は骨付きのままオーブンに入れる用に。もう半身はシンプルに塩麹の焼き、という具合。

各肉パーツに分けられたイノシシ
私の普段の解体と明らかにビジュアルが違う・・・
犬用まかないを作るハルちゃん
犬用のまかないを作るハルちゃん

あらかたバラし終わってここからは調理過程なので、ドットツリーオフィス内にあるキッチンへ移動しつつ、テキパキと処理していく。まずはダシを取るために、可食部の少ない前足や半端な肉片、骨、野菜の切れっ端をグツグツ煮込んでいく。

野菜クズも一緒に煮込んで出汁を取る
人参・玉ねぎの皮もイン!

そしてゴロゴロミートソース用の人参と玉葱を刻んでいく。ここで one tip、ミートソースなので本来はセロリを加えたいところが、あえて今回はセロリを使わないとのこと。なぜならイノシシの味を殺したくないから、と。

イノシシコンソメ用の玉ねぎをきざむ野田さん

これは私もようやく最近気付き始めた味覚なんだけど、ジビエのいわゆる”クセ”は、消すべきものではなく、伸ばすところにジビエ料理の奥深さはある。当然野田さんはそこを熟知していて、ニヤニヤしながら野菜を刻んでいく。

イノシシコンソメ用のニンジンをきざむ野田さん

セロリちゃんはね〜、今回入れませんっ

イノシシコンソメ用の野菜を炒める

軽く炒めてから・・・

ゴロゴロミートソース用にソテーしていく

ゴロゴロ肉片と絡めて炒めて!

ゴロゴロミートソース用に赤ワインを加える図

先程のダシと赤ワインで煮込んでいく!

イノシシバラ肉などをオーブンに入れる図

塩麹に浸けたバラ肉などはオーブンへ!

野田さんの凄いところは、こうした一連の調理作業をしながらも、

  • 映えを考慮して要所要所撮影ポイントを教えてくれる
  • ハルちゃんの面倒を見ている

ところだ。ハルちゃんは当然はしゃぎたい盛りの小学生なので、あっちこっち動き回ったり叫んだりとにかく元気で、しかしそれを視界の端に収めつつ、あるいは耳で聞きながら、ちゃんと諌めつつ作業に臨んでいるのだ。こんなマルチタスクをこなせる人はそういない。

イノシシコンソメを濾していく

ダシを濾してイノシシのコンソメを仕上げ中!

そうしてる間にアペリティフならぬ前菜用のイノシシコンソメスープをグラスに準備してくれた。

イノシシコンソメをグラスに注ぐ

待ちきれぬハルちゃん

イノシシコンソメの乾杯

何もしてないけど味見は積極的に参加する筆者

人生初のイノシシのコンソメスープ、お味はいかに。

イノシシコンソメを味わう図

これは控えめに言って、、、ウマい。ですね(語彙力よ

イノシシの味が全面にドーン! と来る。ポークコンソメならぬ、ワイルド・ボア・コンソメ。これでラーメンとか作ったら面白そう。もちろんカレーにもいいだろうし、なんなら麻婆豆腐のスープにも絶妙にあいそうだ。

余談、ジビエの美味しさというのは、アクワイアードテイスト(後天的に獲得する味覚)だと私は考えていて、経験すればするほどその奥深さが見えてくる。私は猟師5年目くらいですが、最近ようやく「イノシシの味とは」みたいな入り口が見えてきた気がします。

そして続々と完成していく品々。 絶妙な火加減のイノシシヒレ肉
ヒレの塩麹焼き

イノシシのゴロゴロミートソース

ゴロゴロミートソース

イノシシバラ肉の盛り付け

バラ肉の塩麹焼き

突然、シンタマ(後ろモモ肉の部位)をカッティングをしている段、野田さんが奇妙な声を上げた。

「おっふぅ」

野田さん? どうしました?

「んっふぅ」

野田さん?? もしもし? 発情したのかな?

「アタシ、、、ひょっとしたら料理ウマいかもしれません」

そう、カットした断面から、オーブンの火入れの時間がジャストだったらしく、最高のお肉の状態で切り口が見えたのだ。

イノシシヒレへの絶妙な火加減を指差す図

この絶妙な火加減! 遠目で申し訳ない!

これで料理が出揃いました。後は食べるだけ。そうひたすらに。

出来上がったイノシシ料理を試食!

食べる

食事中もカメラ目線を忘れないハルちゃん

食べる

カメラ目線でバラ肉にかぶりつくハルちゃん

カメラへの意識も忘れない肉食系女子ハルちゃん食べる

そんなわけで、野田さんの解体技術と料理を堪能してきました!

ベースがイタリアン・スパニッシュということもあり、ジビエ本来の味を活かす、という調理が軽く衝撃でした。イノシシの味を押し出して、その後ろに野菜や胡椒をそえていく、といったイメージで、これからの私の自炊も、今回の刺激を受けて変わっていきそうです。

それではまた!

カテゴリー: 狩りガール   ジビエグルメ  
ライター:島田寿朗

キーワード:, , , ,