街から始める鳥獣対策

くくり罠からの生け捕りはともかく、箱罠からの生け捕り方法が確立してないので試してみました

くくり罠からの生け捕りはともかく、箱罠からの生け捕り方法が確立してないので試してみました

片桐邦雄氏による、くくり罠 → 生け捕り、の動画普及により、イノシシの生け捕り方法が確立され、youtuber猟師界は、にわかに生け捕りイノシシ動画バブル期に突入しています。

そんなん誰も知らねぇよ。

話を戻しますと。そもそもインターネットが台頭するまでは、狩猟に使用する罠の作り方や止め刺しの方法、仕掛け方、などは、わりとクローズな環境にあり、全国規模ではなかなかその知識が研究・共有されずに、時には断絶していたと推察されます。

しかしネットの台頭、特にyoutubeの賑わいにより、それらが一気に公表され、シェアされ、検索すればあっという間に理解・製作できるようになってきたのです。

もちろんそれらとともにノイズ的な情報も数多く存在しますが、少なくとも属人的に秘密裏にされるような道具が無くなってきた、というのは素晴らしいことだと思っていて。いい時代に生まれたなぁと感激もひとしおでございます。私のもっとも苦手とする人間社会構造のひとつ、「人的しがらみ」がほぼ無くなったわけですからね。

ネットによる効果かどうかは調べようもないですが、下図のように、罠によるイノシシ捕獲頭数は2000年を堺に、明確な増加傾向にあります。

猪の捕獲数推移

また、罠免許の取得者も2000年辺りから増加傾向にあります。巷で言われている「猟師が不足している」というのもおかしな風説で、ちゃんとデータに基づいて言及してほしい。銃猟者が減っている、というのはまぎれもない事実ですが。

狩猟免許取得者数の経年変化

さて、では何故この人口減少トレンドに突入した今の日本でも罠師は増えているのか、というと、種々メディアが潤沢になってきたことが大きな原因ではないかと思うのです。特に冒頭申し上げたように、猟師youtuberが明らかにここ数年増えてきています(私含め)。もちろんトップyoutuberのような再生数は稼いでいませんが、狩猟というテーマは万国共通なため、そこそこ世界中からのアクセスを集められるコンテンツなのです。

そんななかでも人気となっているのがイノシシの生け捕り映像。何故かというと、止め刺しや殺生、解体シーンなどグロいものは、youtubeの規約により、広告の掲載が不可となってしまうケースが多く、しかし生け捕りに関してはほぼセーフなのが現状なので、何せ人気のあるコンテンツとなっています。私の観測範囲では、イノシシの生け捕りをしている民族は日本人だけのようですし。日本語の動画なのに世界中からコメントが集まっているのも特徴ですね。

もちろん命を奪う行為だからこそ、ゲームや遊び感覚でやってしまうのはよろしくなくて。しかし、興味を持って、危険を犯し、自分の力で四足獣を仕留め、その肉を口へ運ぶ、という行為は何ものにも代え難い経験・価値観ということもあり、私個人的にはとても喜ばしい現象だと思っています。

その動画を見た人が、「俺も生け捕りやってみたい!」と思うのであれば、新たな猟師に。「私もyoutuberやってみたい!」という猟師は、強制的にネット・動画撮影のスキルアップ、上手くいけば収入増、と、いいことだらけ。

もちろんこれから何かしらの問題も出てくるでしょう。しかし過去の日本の狩猟シーンには存在しなかった、新たなトレンドの風が吹き始めているのは間違いなく事実で、高齢化やなんやかんやネガティブなことばかり言われているこの世情のなか、ホットな事象であることには違いないのです。

だいぶ横道にそれました。それでは箱罠からの生け捕りについて説明していきます。あくまで私が数回チャレンジしただけの経験なので、雛形とするにはまだ要熟成であるということはご承知ください。

まずは参考に、片桐氏によるくくり罠からの鼻取り → 足束縛 → 目隠し、の映像を見てみましょう。

見て分かるように、何も特別なことはしません。足 → 口 → 足、と順番に拘束していくだけ。しかしその道具チョイスが地味に凄い。拘束に使用するのは、くくり罠使いまわし、安価な荷造りロープ、目隠しのガムテープの3点。この汎用的な道具のみで生け捕りのテンプレを作っちゃったのが氏の凄いところで。

しかしyoutubeで見られるイノシシの生け捕りは、いずれもこの片桐氏をベースとした、くくり罠からの生け捕りのみで、箱罠のものが見当たりません。そこで今回は箱罠からの生け捕りに挑戦してみました。

基本的に片桐氏の流れを参考に、箱罠バージョンをトライしていきましょう。

箱罠の中の猪を見つめる筆者

2020年の11月にかかった推定3歳、80kgの雌イノシシです。元気いっぱい、まずまずの肥え具合。

箱罠の中からこちらを警戒する猪

まずは箱罠の隙間から、くくり罠をぶらさげて鼻を取りに行きます。

箱罠の外からくくり罠を垂らします

イノシシはその性質上、目の前に出されたものに噛みつきます。ワイヤーを噛んだ瞬間にテンションをかけて鼻を取りに行きます。

くくり罠に噛み付いた猪の絵
噛み付いた瞬間に・・・
箱罠の外から一気にテンションかけます
一気にテンションかけます!

箱罠の中で鼻がくくられた状態の猪

鼻を獲ったワイヤーの片方は近くの木にくくりつけます。まずは鼻保定完了。ここから後ろ足を取りに行きます。同様にくくり罠を使いまわして、檻の外からかけていきます。

檻の外からくくり罠を挿入します

この段階がいちばん時間がかかりました。鼻の保定のみでは、まだ結構な自由度があるため、箱罠内をかなり動きます。狙い目は、ある程度時間が経ってイノシシが疲れ始めたころ。相当動きが鈍くなりますので、そうなった時に後ろ足を取る。

くくり罠を流用して猪の後ろ足を保定します
後ろ足もゲット!

この状態になれば、かなり自由度がなくなるので、手足を縛っていけます。

箱罠の外から猪の後足を縛ります
後ろ足を縛り・・・
箱罠の外から猪の前足を縛ります
前足も縛っていきます

この時点で手足の自由が無くなったので、檻の中に入っていきます。目隠しと噛みつきを抑えるためにガムテープを使用します。

ガムテープで猪の目隠しをします
目隠しガムテープ

ガムテープをすると、それまでの激しい抵抗はかなり収まり、観念したようになります。この状態で前足と後足を結びます。

生け捕りの終わった猪
保定完了!

これで持ち運びできるようになりました。腹部に巻いているのは木廻しベルトで、運ぶのにすごく便利でした。

ってまあ簡単そうにやってるように見えますが、これだけで2時間くらいかかってます。もとスムーズにできるよう、精進しないといけませんね。

くくり罠からの生け捕りよりも、箱罠から手足を突っ込んで力の入らない状況でイノシシを抑え込まないといけないので、ある意味大変でした。

まとめると、上部からワイヤーで鼻を保定 → 隙間から足ひとつ保定 → 隙間から足(残り)の保定 → 箱罠開いて目と口をガムテープで縛る、といった流れでOKそうです。

なぜ生け捕りにするのか? といった問いはメリット・デメリット含め複数考え方があるので、それはまたの機会に。

それではまた!

カテゴリー: 狩猟の道  
ライター:島田寿朗

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